ハンダ とは

ギター用ハンダ
(Kester 44)

(Amazon)

ハンダとは、電気部品の端子とリード線等、電気配線の接続に用いられる接着剤のようなもので、ハンダを熱して溶かして接続部分を覆うことで部品同士を接続します。

ハンダの種類

鉛フリーハンダ

ハンダの種類を大きく2つに分けると、鉛の入った『鉛入りハンダ』と鉛の入っていない『鉛フリーハンダ』の2つに分かれます。
EUでは環境保護の観点から鉛を使用した製品の製造・販売に対し“RoHS指令”という規制がある為、世界の多くの楽器メーカーはRoHS指令に則り鉛フリーのハンダを使用して生産を行っています。
ギターの入った段ボールやヘッド裏に貼られたシールにRoHSの記載のある商品は鉛フリーハンダが使われているはずです。ちなみに、鉛フリーとされているハンダについてもRoHSの規定をクリアする微量の鉛は含まれています。

ハンダによる音の違い

ハンダは種類によってギターの音が変わると言われており、ハンダメーカーや品番を変えることでギターそのもののサウンドが変化します。
ハンダの金属組成によっても音質は変化し、例えば銀入りハンダは高音域特性に優れているとされます。
鉛の含有量も音質に影響を与える為、鉛フリーとそうでないハンダでも音が違うとされています。

ハンダ交換でギターやベースの音質を変化させたい場合、1・2箇所ハンダを交換した程度では効果は実感出来ない場合が多く、全てのハンダを一旦除去して新しく配線を1から組み直さなければ明確な変化は感じ取れないかもしれません。

様々なハンダがありますが、どのハンダを使ったら良いか分からない場合にはケスター44がお勧めです。

半田ごて とは

ハンダごて
(goot KS-40R)
(Amazon)

「半田ごて」とは、ハンダを加熱する為の道具です。

熱量

はんだごてにも様々な種類のものがありますが、ギターの配線をする為に使用する普通のハンダごてには30~40Wのものが扱いやすいと思います。

こて先の形状

小手先の形状には種類があります。
こて先の形状によって熱の伝わり方が変わる為、作業性が変わってきます。
交換用の小手先の選択肢の多いメーカー、モデルを買っておくと便利です。

ハンダ作業に必要なもの

半田ごて台とスポンジ


(Amazon)

作業中に半田ごてを置いておく為の台です。
高温に加熱した状態の半田ごてをその辺に置いておくのは危ないので、作業中に安定しして置いておける台が必要となります。

半田ごて台にはスポンジがセットとなっているものを選びます。このスポンジも必需品です。
スポンジは水を含ませた状態で半田ごて先端のクリーニングに使用します。半田ごて先端をキレイな状態に保つことでハンダ不良を防ぎます。

ハンダ吸い取り線・吸い取り器

古いハンダの除去に使用する銅の網線です。古いハンダの上にハンダ吸い取り線を宛てがい、ハンダ吸い取り線を半田ごてで加熱して溶かした古いハンダを毛細管現象の要領でハンダ吸い取り線に染み込ませます。
ハンダ吸い取り線にもフラックス入りとノンフラックスタイプがあります。ギター配線に使用する場合にはフラックス入りのものが便利です。

モリモリに盛られた古いハンダの除去にはポンプ式の吸引器で吸い取ってしまうという手段もあります。
半田ごてでハンダを溶かした状態で吸い込ませます。

ニッパー・ワイヤーストリッパー

配線材のカットにはニッパーが必要です。
配線の被覆を剥くのにはワイヤーストリッパーが便利です。

ハンダ作業のコツ

EMG配線改造 (2)

予備ハンダ

パーツ同士を付け合わせる前にハンダ付けする部分に予めハンダを流しておく作業です。この作業を行うことでパーツ同士へのハンダの馴染みが良くなる為、ハンダ不良のリスクが低くなります。

作業は手早く

熱に弱い部品のハンダ付け作業は手早く行うようにしましょう。

良いハンダ付けの状態とは?

 

Frontisland ハンダのイラスト

イラストはコントロールポットの裏にリード線をハンダしたイメージ図です。

ポット①はハンダがキレイに流れてリード線を包み込んでいる良い状態です。

②はNGです。ハンダは流れていますが、リード線が浮いてしまっています。①のように接続対象同士(この場合はリード線とポット)が接する状態でハンダ付けを行うのが理想です。

③はイモハンダと言う状態でハンダがポット側へしっかりと流れていません。このような状態の場合にはちょっとしたことでハンダが取れてしまうことが多く、断線の要因となります。③の状態となる原因としては、ポットのハンダを乗せる部分の温め不足やメッキ等でハンダが弾かれている場合があります。
③の反対の状態として、ポットへはハンダが流れているけれどもリード線に流れないというパターンもあります。この場合はリード線へ予備ハンダを行い、きちんと熱を加えてからハンダ付けを行うようにすることで改善されます。




ハンダが乗らない場合と対処法

端子やリード線の芯線部分にハンダを溶かしたを流しても上手く馴染まずに弾いてしまったり、固まったハンダが取れてしまうことがあります。

加熱不足

ハンダが付かない原因の一つに加熱不足があります。温め方が不十分だとハンダは乗りにくい為、ハンダを乗せる部分は十分に加熱する必要があります。但し、過剰な加熱はパーツの損傷に繋がりますので注意が必要です。トレモロのスプリングハンガーのような体積の大きな金属パーツは温まるのに時間が掛かる場合があります。

メッキに弾かれる

トレモロのスプリングハンガーやメッキ処理されたポットの場合、そのままハンダを乗せようとしても弾かれてしまって上手くハンダが乗りません。ハンダを乗せる部分のメッキをヤスリ等で削っておくことでハンダが素材に馴染むようになります。

下の動画の19:40辺りでスイッチ付きポットの側面をヤスリでガリガリ削っている様子が見れますが、このスイッチポットの場合はこの作業をしなければハンダが上手く乗りません。

フラックスを使う

電子機器の配線に使用するハンダにはフラックスというハンダ付けの促進剤が入っています。フラックスは接合させる金属の表面の異物や酸化膜を洗浄する作用があり、ハンダ不良を防いでくれます。
通常はハンダに含まれる促進剤だけで十分ですが、ハンダの乗りが悪い場合には、別途フラックスを塗布することでハンダの乗りが良くなる場合があります。

使用に関しての注意点

①やけどに注意

グリップ部以外は高温となります。
使用後はコンセントの抜き忘れに気を付けましょう。

作業中はソルダースタンド(こて台)を使いましょう。

②作業環境への注意

ハンダを溶かすとフラックス(ハンダに含まれるハンダ付け促進剤)が蒸発して煙が出ます。この煙は人体に有害な物質を含んでいる為、吸い込んでしまわないよう気を付けましょう。鉛フリーハンダにおいても同じことが言えます。

③母材の熱しすぎ注意

母材となるパーツを熱しすぎた場合、破損等の不具合が発生することがあります。
過度の加熱は避けましょう。

まとめ

FrontislandMG-X配線コントロール

ハンダ付けの作業が出来るようになるとギターのちょっとした修理や改造が出来るようになります。これからハンダ付けの作業をしてみたいという場合、最初はうまくいかないかもしれませんが数をこなすことでハンダのコツが分かってくると思います。

コントロールの組み方を変えることでギターから出力出来るサウンドのバリエーションを増やすことも可能です。

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