ギター紹介
(スライドショーです↑)
こちらのギターは私の友人“黒幕さん“が所有するレスポールカスタムタイプのギターです。
ボディのトップ・バックにはAngel Beats!のユイにゃんがペイントされています。印刷やシールではなく“手書き”だそうです。
黒幕さんはギター塗装工房を営む本職のギター塗装屋さんで、このユイにゃんは黒幕さんが個人的に楽しむ為に自分のギターにペイントしたものです。実際に自身のライブでステージに立った際にも使用した一本です。
このギターのコンセプトは、「メインギターとしてガチで使う痛ギター」だそうで、10年経過した今でも綺麗な状態を保っています。
ユイにゃんはボディ裏面にもペイントされています。
ペイント方法は筆塗りだったりエアブラシだったり様々で、メタリックやパール塗料も使われているので実際に見ると鮮やかな印象を受けます。
ストラップは自分のとお揃いにしたり、遊び心や細かなこだわりを感じます。
ネックグリップとボディサイドにはポップな音符がデザインされています。
フレットすり合わせ
フレットの状態はそんなに悪くはない状態でビビリ音や音詰まりの症状は出ませんでしたが、若干フレット高さのばらつきがあったのでフレットのすり合わせを行いました。
コントロールの改造
上記配線図は組み直す前の状態です。ライブではボリュームポットしか操作しないということで、預かった状態では1ボリューム仕様で組まれた実用性重視のコントロールでした。
4つあるコントロールノブのうちの3つはダミーです。フロントはタップ線がアースに落とされており、常にコイルタップされた状態でした。
「コントロールはお任せで好きなように組んでいいよ」ということだったので上記配線図の内容で組み直してみました。
ダミーだった3つのポット全てに何かしらの機能を持たせたコントロールです。
ボリュームポット以外はプッシュ・プルのスイッチ付きのポットとなっており、ノブが下がった状態ではそれぞれの機能はキャンセルされます。なので、全てのノブが下がった通常の状態ではこれまで通り1ボリュームのみ有効なコントロールとなります。
『コントロールノブが4つあってもライブ中に操作しきれないしノブ位置をいちいち確認するのもわずらわしい。でもレコーディングではトーンをコントロールしたい時もあるし、たまにはタップサウンドも鳴らしたい』という場合には有効なコントロールです。
フロントとリアのピックアップには25kのスイッチ付ポットを使用し、ちょっと変わったコイルタップの切替機能を持たせました。
ノブが下がった通常の状態ではハムバッカー(Series)モードですが、ノブを引き上げるとコイルタップ (Split)モードになります。
コイルタップモードではコイルタップでキャンセルさせる側のコイル出力レベルを任意にコントロールさせることが可能です。ノブを上げた状態でノブのを目一杯反時計回りに回したメモリ0の時は完全なコイルタップ状態となり、ノブ位置10の方向に回していくと徐々にハムバッカーのサウンドに変化していきます。
それぞれのピックアップの内側のコイルがキャンセルされるコントロールとなっています。
配線処理
配線を組むにあたって問題となったポイントは配線穴です。
上の写真でリアピックアップからコントロールキャビティへ向かう配線穴が確認出来ます。今回組むコントロールではこの穴径では容量が足りません。なので、配線穴の拡大加工が必要となります。
今回は穴位置を変更する為、一度配線穴を埋めて太い径のドリルで穴を開け直しました。
ピックアップをエスカッションマウントしたギターで起きるトラブルでエスカッションを固定するネジが配線穴に貫通して中の配線にダメージを与えて最悪の場合ショートして音が出なくなるというというのが稀にあります。
構造上可能であれば配線穴はなるべく下に開けてクリアランスを確保した方が安心です。
導電塗料を塗れば加工跡は目立たなくなります。
配線穴開けを失敗するとコントロールキャビティとは全然違うボディ表面に穴が貫通するリスクがあります。特にこのような特殊な塗装のギターでは、なるべく避けたい作業です。
無事配線を組むことが出来ました。
トグルスイッチとボリューム・トーンキャビティ間を4芯シールド線で繋いだので、配線図のイメージよりは実際の配線がスッキリとした印象に仕上がりました。
まとめ
今回の主な作業内容は下記の通りです。
・クリーニング
・フレットすり合わせ
・ロックナット高さ調整
・配線コントロール改造
・弦交換
・セットアップ
弦はダダリオの10-46に交換しました。
ギターを預かった時点ではトレモロスプリングは2本掛けでしたが、アームダウン時のバネの伸び代に余裕を持たせたセッティングとするためにスプリングを一本追加して3本掛けに変更しました。
作業の様子はYouTubeで公開しています。