Frontisland Fender-Telecaster

弦高が高い

Frontisland Fender Telecaster 弦高

 

ブリッジのサドルを下げきっても弦高が1弦側2.5㎜、6弦側2.7㎜と高い状態でした。
流石に弦高が高すぎるのでボディのネックポケットを加工し、ネックのセット角を変更して弦高を下げることにします。
ネックポケットにシムを挟むという方法もあります。ボディを加工するかシムで調整するかは狙っているサウンドやギター本体の状態をみて判断するのでどちらが正解というのは無いと思います。今回はシムを使わない方法で調整しました。

Frontisland Fender-Telecaster66

調整後は1弦側1.7㎜、6弦側2.7㎜くらいに調整しました。ブリッジサドルの上下可動域にも余裕を持たせ、好みに合わせて上げ下げが出来る範囲に調整しました。
1弦サドルの弦高調整用ネジは短く、それ以外は長かったのですが、ブリッジミュート時にサドルから飛び出したイモネジが手に当たると痛いかな?と思ったので、6弦のイモネジのみ1弦と同じ長さに加工しました。

このギターは6連サドルタイプのブリッジが付いていました。6連タイプは3連タイプのブリッジに比べてオクターブの調整がシビアに行えるというメリットがあります。

フレットの修正

Frontisland Fender Telecaster9

修正前の写真です。ネックが痩せてフレットが少し飛び出したと思いますが、演奏する際にフレットが手に当たって弾き心地が悪い感じです。
なので、フレットの足とフレットサイドを削ります。

Frontisland Fender Telecaster63

修正後の写真です。フレットの足とフレットサイドを削り、フレットの角を丸めました。演奏時にフレットが手に当たる感覚が緩和されました。

ジャックの不良

Frontisland Fender-Telecaster40

ジャックは接点不良の症状があり、ジャックを取り付ける為のプレートも破損がある状態でグラグラでした。写真左側が元々付いていた物で、ネジ穴4箇所のうちの3箇所が破断しています。
ジャック本体は新品に交換し、ジャックプレートは手持ちの在庫が無かったので現物合わせで作成しました。(写真右側)
この手のジャックのプレートはプラスチックタイプと金属タイプの2種類があります。金属タイプは強度的にもノイズ面にも有利なのでお勧めですが、プレートの湾曲具合の調整は簡単ではありません。
プラスチックタイプは柔軟性があるのでボディにフィットするというメリットがあります。パネル裏側に銅箔シート等を貼ることでノイズ対策を行うことも出来ます。

キャビティのシールド処理

Frontisland Fender Telecaster42

キャビティ内にはノイズ対策の為か導電性の塗料が塗ってありました。推測ですが、現オーナーの前のオーナーが塗ったものではないかと思われます。
塗ってはありましたが、アースへの接続は無い状態でアースシールド効果は機能していない状態でした。
導電塗装面をアースに接続しな場合、逆に導電塗装面がノイズを集めるアンテナになってしまう場合があります。なので、キャビティ内は導電塗料の塗り直しを行い、ラグを使ってアースへ接続しました。

配線の組み直し

Frontisland Fender Telecaster44

配線はクリーニングついでに組み直しを行いました。

緑色のパーツはコンデンサ(キャパシタとも言う)です。左の物がトーンコントロール用のコンデンサで、高音域をアースへ逃すフィルターの役割として機能します。
右側の小さい方はボリュームのハイパス用コンデンサです。ボリュームを絞った時に減っていく高音域の音の成分をアンプ側へバイパスして出力する役割を持ったコンデンサです。

メンテナンス前はコントロールプレートに対してポット取付け位置が高かった為、トーンノブ取付け位置が高くなってしまい不自然に浮いた状態となっていましたが、今回の作業で違和感のない位置に調整しています。ポット事態に多少のガリはありましたが、今回はポット内部の清掃で様子をみることとしました。

ポットは多少のガリがありましたが、ポット内部の清掃で対応しました。メンテナンス前はパネルに対してポット取付け位置が高かった為、
テレキャス配線図2022-2

今回の配線図はこちらです。
レバースイッチは密閉型で接点の状態は目視では確認できません。開放型のイラストを載せておきましたので、接点の構成は開放型と照らし合わせて見てみるとイメージしやすいかと思います。

レバー位置で繋がる接点は
← ❹と❶ ❺と❻
↑ ❹と❷ ❺と❼
→ ❹と❸ ❺と❽
です。

テレキャス配線図2022

元々の配線はこんな感じです。
導電塗装面(Conductive coating)はアースに繋がっていない状態でした。
ボリューム・トーン間の配線の組み方は変更しました。機能的には変更後と何も変わりません。

まとめ

Frontisland Fender-Telecaster46

預かった段階ではテンションの強い太いゲージの弦が張ってありました。
弦はダダリオの09-42に交換し、この弦に合わせてトラスロット等のセッティングを行いました。

友人を介して調整を頼まれたこちらのギターですが、元が良かったので弾き心地もサウンドも良い感じでした。やっぱりテレキャスは良いですね。

作業内容はここに書いたもの以外も実施している為、結果としてオーバーホールというかフルメンテな作業内容となりましたが、これで当分の間は楽しく安心して弾ける状態になったと思います。

作業の様子はYouTubeで公開中です。

 

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