Frontisland 紫5号

ギター紹介

紫5号-BODY

何から何まで紫色のギターです。
特徴的なのは見た目だけではなく、30フレット仕様でギターシンセ対応のハムバッカー(ハイブリッドピックアップ)を搭載し、音色も音域も幅広く対応できるギターです。
紫5号 アウトプットアウトプットはギター接続用フォーンジャックとMIDIの2系統を備えています。

コントロールにはマグネティックピックアップ出力とギターシンセ出力の切り替えスイッチやローランドVG-8等接続デバイスの操作スイッチを備えています。

紫5号 ベベルドカット

ボディ材は表側からスポルテッドキルトメイプル、パープルハート、フレイムメイプル、マホガニーです。
「紫」へのこだわりからパープルハートを使用しています。

紫5号ヘッド裏

ペグにはヒエログリフ模様の装飾が施されています。(こちらはオーナー様手配)
付属の6角レンチまで紫色です。

紫5号ボディ裏

当工房で制作したシースルーパープルのプレートに、オーナー様手配の外部業者様にヒエログリフの装飾をしていただいています。

スペック

紫5号 製品仕様書

紫5号 コントロール仕様

制作コンセプト

ARIA MAC MID

今回の制作は『ARIA CUSTOMSHOP MAC-MID-DV』の改造の相談からプロジェクトがスタートしました。

こちらのギターはギターシンセ対応の28フレットという特殊な仕様で90年代中頃に生産されていたモデルです。
ギターシンセピックアップはブリッジ側のハムバッカーに内蔵されているため、よくある外付けのギターシンセピックアップよりスッキリとした外観となっています。ローランドギターシンセGRシリーズをコントロールするプッシュスイッチも備えています。
今や希少なギターで、オークションやフリマサイトでもなかなかお目にかかることができないギターです。

メルカリ購入

28から30フレットに変更したりボディトップを違う木材に変更してベベルドカットにする手間やコストを考えると『ボディは新しく1から作る方が良いのでは?』ということになり、ボディは新規で制作することになりました。

新規で1から作ることになったボディは、外形やジョイント形状を手持ちのギターと同じにしてほしいということでオーナー様所有のギターを貸していただきました。
お借りしたギターをトレースし、ギターを設計します。

制作工程

化粧板

木材はパープルハート以外は当工房のストック材から好みのものを選んでいただきました。
一番表にくる化粧板は4番のスポルテッドキルトメイプルがお好みということで、その中から選別していただいたものを使用しました。

紫5号 ネック制作中

『以前30フレットのカーボンネックを作成した時に型として使用したものがネックとして使えるようであれば使用してほしい』とのことで支給していただいたネックの指板とヘッドトップを張り替えてネックを仕上げました。

指板材はバーズアイメイプルでポジションマークは黒蝶貝です。

塗装前 (1)

パーツの準備

ペグ分解

今回パーツのほとんどは支給していただいたものを使用しました。ペグやブリッジは一旦お預かりしてこちらで分解し、洗浄をしました。分解の際にペグのギヤボックスのフタは破壊しても大丈夫とのことでしたが、傷がない状態で脱着できました。
紫色の着色とヒエログリフの装飾はオーナー様が専門業者さんに施工を依頼してくださいました。

GOTOH
SG360-07-R6-Chrome

GOTOH ( ゴトー ) / SG360-07-R6-Chromeサウンドハウス

シャーラーフロイド バラバラ

紫化が完了し、戻ってきた部品の組み込みをします。
場所によっては焼付塗装塗膜の剥離処理や受動部のグリスアップ等をして使用上問題なく機能する状態に組み戻します。

ノブの装飾

ノブの頭は青いアバロンのものからポジションマーク材と同じ黒蝶貝を用いてシースルーパープルカラーで作り直しをしたものに交換しました。(写真右側)

当工房では、こういった装飾施工や小物制作にも対応します。出来ることと出来ないことはありますので、まずはお気軽にご相談ください。

塗装

紫5号 塗装中

ロゴは黒の上にシースルーパープル塗装をすることになりました。
いつもであれば着色→ロゴ入れ→クリアという工程なのですが、今回はロゴ入れ→クリア→研磨→着色→クリアという一手間加えた工程での施工となりました。

今回一番心配だったのは『フレットも紫に塗ってほしい』というご要望でした。耐久性が心配でしたが塗ってみたら意外と大丈夫そうでした。
チョーキングはスムーズで引っかかる感じもありません。

ボディ、ネックはシースルーパープルで塗装しました。

恐らく組み込みのことを考えて紫化されずに戻ってきたスプリングハンガー等の部品はこちらで着色塗装を行い、外から見える部分は可能な範囲で全て紫色になるように対応しました。

配線の組み込み

紫5号 コントロール配線 (1)

見えないところではありますが、配線材や電子部品も可能な限り紫色で組んでいます。
コントロールパネルはアクリルのシースルーパープル素材なので、チラッと中が透けた時の質感や統一感を狙っています。

パーツはアリアから移植の予定でしたが、ポット・スイッチ類はリフレッシュを兼ねて同じ規格の新品のものに交換しました。

aria シンセ配線

こちらは元々の配線状態です。
リフレッシュも兼ねて6番のポット以外は新品の同じ規格の部品に交換しました。
新たに用意した3WAYのピックアップセレクターや④⑤のプッシュスイッチは分解して紫色に塗装しています。

まとめ

紫5号 ヘッド

オーナー様のこだわりが詰め込まれたギターが完成しました。
もちろん弦も紫色のカラー弦が張られています。

カスタムオーダーでのギター制作というのはオーナー様と2人3脚でプロジェクトが進行するパターンが多いですが、今回もオーナー様ご協力のものギターを完成させることができました。
オーナー様が直接手配した部品、部材や外部業者様の加工費はこちらでは把握していませんので、このギターの制作費用の総額は公表できません。
同じような内容のギターオーダーをご希望の場合、制作費用は都度お見積りとなりますのでお問合せください。

→お問合せ

Frontisland CustomGuitarWorksの制作するギターは見た目にもこだわったギターが多いですが、造りやサウンドにもこだわりを持って制作に努めています。当工房では演奏可能な試奏用のギターを展示しておりますので、ご興味ある方はご連絡ください。

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