ギターザグリサンプルギターやベースのコントロール配線が収まる空間をコントロールキャビティと呼びます。ギター製造において、この空間の事を“ザグリ”と呼びます。
このページでは、ピックアップやコントロールキャビティのザグリ加工の方法について紹介しています。

加工に必要な道具

キャビティの加工は木材の切削をすることによって行います。
目的はピックアップやコントロール部品が収まる空間を掘ることであり、加工方法は様々です。
既存のギターの改造程度ならドリルで穴を開けてノミとトンカチで彫り込む方法でも事足りるとおもいます。しかし、1からギターを作る場合には木工切削機材を使用することで作業は短時間で仕上がりも綺麗なものになります。

ここからはキャビティ加工にあると便利な機械をいくつか紹介します。

卓上ハンディルーター


HiKOKI(旧日立工機) ルータ M12SE
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コントロールキャビティやピックアップのザグリを一から彫るにはルーターという機械を使用します。
エレキギター製作には欠かせないツールで、コントロールキャビティやピックアップザグリ等の広く深いザグリの掘り込みを行う時に使用します。

ここからは使い方の一例を紹介します。

ルーター 裏面

ルーターの底面にガイドを取り付けて使用しています。

中心の銀色のプレートがガイドとなっています。
私はφ16のガイドに対しφ12の刃物を取付けて使用しています。

VTボックス

上の写真はコントロールキャビティのザグリを彫った後の写真です。

ボディ上面に乗っている透明なプレートは塩ビ板で作成した治具です。
φ16のガイドに対し、φ12の刃物を取付けて使用していますので、治具よりも2㎜内側にオフセットした仕上がりとなります。なので、予め治具は加工ラインよりも2㎜大きく作成します。

別の方法で、ルーター本体にはガイドを付けないでベアリングガイド付きのビットで治具に沿って加工させるという方法もあります。
こちらの方法でのメリットは、加工したい寸法と同寸法で治具を用意することができるという点です。

同じ機械や道具でも、使い方やアタッチメントの組み替えで加工方法は色々あります。安全で効率的な方法が良いと思います。

トリマー


マキタ トリマ M373
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ルーターの小型版的存在の機械でトリマーというものです。ルーターと比べた場合、比較的浅い加工や細かな仕上げ加工に向いています。
刃形状のラインナップも豊富なのでザグリ加工以外にも様々な加工に用いるツールです。

ホイールナット部 加工

治具はルーター同様塩ビ板で作成しています。
台座プレートにはφ10のガイドが付いており、刃物はφ6を使うことが多いです。この場合には仕上がりは2ミリのオフセットが生じます。
ビット(刃物)は様々なラインナップがありますストレートや面取りカッター等、用途に合わせて使い分けています。

電装品をピックガードにマウントする場合

VT 加工

ピックガードにマウントするパーツが収まるキャビティを彫ります。
設計図を作成し、パーツとのクリアランスを確保したキャビティ形状を設定し、必要であれば治具を作成します。

レバースイッチや、プッシュ・プルスイッチ付きポット等、長さのある電装部品をチェックして適切なクリアランスを保てる深さで彫ります。パーツ配置(仮)

パーツを仮置きしてみました。リード線がかさばるので、キャビティ内は配線を収める余裕の確保も必要です。太めの線材を使う場合は特に注意が必要です。

電装品をボディに直接マウントする場合

ダイレクトマウント

表面からスイッチやポットの取付穴を貫通させておくと表面と裏面の位置関係の把握が容易です。

スイッチ穴

穴を開けました。

電池ボックス裏面からスイッチ等の電装部品を収める空間を彫ります。
部品を取り付けた際に壁とのクリアランスが十分保てるようにします。スイッチ落とし込み

キャビティ部の深さはポットやスイッチ等、取り付けるパーツのネジが利く厚みに調整します。

角R

大きく深いザグリの場合にはルーターφ12で粗加工を行い、角Rを小さくする為にトリマーφ6を使って追加工を行ったりします。

落し込みのパネル部分を彫ります。トリマーで加工します。

下のザグリには電池ボックスが入ります。電池ボックスがフタの役割もします。
以上で加工は終了です。

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