ギターやベースのコントロール配線が収まる空間をコントロールキャビティと呼びます。ギター製造において、この空間の加工の事を“ザグリ”と呼びます。
このページでは、ピックアップやコントロールキャビティのザグリ加工の方法について紹介しています。
加工に必要な道具
キャビティの加工は木材の切削をすることによって行います。
既存のギターの改造には大掛かりな道具は必要ありませんが、新たにザグリを追加する場合には専用の切削機材を使用することで、作業は短時間で仕上がりも綺麗なものになります。
キャビティ加工に使用する機材をいくつか紹介します。
卓上ハンディルーター
HiKOKI(旧日立工機) ルータ M12SE
(Amazon)
コントロールキャビティやピックアップのザグリを一から彫るにはルーターという機械を使用します。
エレキギター製作には欠かせないツールで、コントロールキャビティやピックアップザグリ等の広く深いザグリの掘り込みを行う時に使用します。
トリマー
ルーターと比べた場合、比較的浅い加工や細かな仕上げ加工に向いています。
刃形状のラインナップも豊富なので、ザグリ加工以外にも様々な加工に用いるツールです。
治具はルーター同様塩ビ板で作成しています。
ビット(刃物)は様々なラインナップがありますので、用途に合わせて使い分けます。
電装品をピックガードにマウントする場合

ピックガードにマウントするパーツが収まるキャビティを彫ります。
設計図を作成し、パーツとのクリアランスを確保したキャビティ形状を設定し、必要であれば治具を作成します。

レバースイッチや、プッシュ・プルスイッチ付きポット等、長さのある電装部品をチェックして適切なクリアランスを保てる深さで彫ります。

パーツを仮置きしてみました。リード線がかさばるので、キャビティ内は配線を収める余裕の確保も必要です。太めの線材を使う場合は特に注意が必要です。
電装品をボディに直接マウントする場合

表面からスイッチやポットの取付穴を貫通させておくと表面と裏面の位置関係の把握が容易です。

穴を開けました。

裏面からスイッチ等の電装部品を収める空間を彫ります。
部品を取り付けた際に壁とのクリアランスが十分保てるようにします。

キャビティ部の深さはポットやスイッチ等、取り付けるパーツのネジが利く範囲となります。
自分の場合は強度を稼ぐ為に1㎜程全体的に厚く残し、パーツ取付部のみを落とし込んで調整しています。

上のザグリはLEDポジションマークの点滅回路の収納スペースです。

角Rを小さくする為にトリマーを使って追加工を行いました。
深いザグリの場合、φ6のビットでは長さが足りないので、φ12のビットで必要な深さを彫った後、仕上げとしてφ6のビットで角を仕上げるようにしています。

配線を通す為のポケットを彫りました。冶具は三角定規を使いました。後でこの空間へ配線穴を通します。

落し込みのパネル部分を彫ります。トリマーで加工します。

下のザグリには電池ボックスが入ります。電池ボックスがフタの役割もします。
以上で加工は終了です。