バルトリーニのイコライザー付プリアンプについて、それぞれどんな特徴なのかをまとめてみました。
それぞれのプリアンプの違いとは?
バルトリーニには様々な種類のEQプリアンプがあります。主な違いはEQの味付け具合とコントロールする周波数帯の違いにあります。
まず、味付け具合の違いとしてNTシリーズとTCTシリーズの2に分けることができます。
NT系はフラットな状態からEQをコントロールするのに対し、TCTシリーズはデフォルトでオリジナルな味付けがされた状態から各EQをコントロールするイメージとなります。さらに増減させる周波数帯のポイントによってモデルが細かく分かれます。
NTシリーズ
NTシリーズは楽器の個性をそのままに、各バンドのイコライジングとゲインのコントロールが可能なプリアンプです。
こちらのグラフはバルトリーニの公式サイト(https://bartolini.net/)に掲示されているNTシリーズのEQグラフをひとまとめにしたものです。
プリアンプを通した音の信号のコントロールの中心点はゲイン0になっており、グラフを見た感じでは10k以下の周波数帯にはEQの味付けがされていません。
NTBT+はフレットを備えたもの用にチューニングされた”F”バージョンとフレットレス用にチューニングされた”FL”バージョンがあります。
FLはフレットレス用とされていますが、フレットが有るモデルに搭載することも可能です。
例えば、NTBTが好みな場合でミドルのコントロールも欲しい場合、Fバージョンであればベースの可変周波数帯域は同じような操作感となることがグラフから読み取ることが出来ます。逆にトレブルのコントロールはFLバージョンの方がNTBTに近い操作感となることが予想出来ます。
NTBT+のミドルの中心値はデフォルトの状態では250Hzとなっていますが、配線の組み方で250〜2000Hzまでの間を目安に任意に設定変更が可能です。
プッシュプルのスイッチ付ポットで2パターンの切り替えコントロールを組むことが可能です。
オプションの専用のスイッチ(DPTT-M)では250/500/800Hzの切替操作となります。
NTBT- 918(2バンドEQ)
Treble | 6kHz(±16dB) |
Mid | 400Hz(±0dB) |
Bass | 30Hz(±15dB) |
Gain | 0〜12dB |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V or 18V |
NTBT-918のパッケージ品番はNTBTG-918となります。
NTBTG-918のGはゲイントリマー付きという意味です。
NTMB+ F(3バンドEQ)
Treble | 10kHz(±18dB) |
Mid | 250Hz(±13dB) |
Bass | 30Hz(±15dB) |
Gain | 0〜12dB |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V or 18V |
NTMB+ Fのパッケージ品番はNTMB+ GFとなります。
NTMB+ GFのGはゲイントリマー付きという意味です。
NTMB+ FL(3バンドEQ)
Treble | 6.5kHz(±15dB) |
Mid | 250Hz(±12dB) |
Bass | 30Hz(±12dB) |
Gain | 0〜12dB |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V or 18V |
NTMB+ FLのパッケージ品番はNTMB+ GFLとなります。
NTMB+ GFLのGはゲイントリマー付きという意味です。
TCTシリーズ
こちらのグラフはバルトリーニの公式サイト(https://bartolini.net/)に掲示されているTCTとXTCTのEQグラフをひとまとめにしたものです。
プリアンプを通した音の信号のコントロールの中心点(点線部)はゲイン0になっていません。どちらもトレブルとベースのゲインが持ち上げられた状態に味付けされています。
TCTシリーズの場合、グラフを見た様子ではトレブルとベースの味付け具合は各モデル似たような感じで、ミドルのイコライジングに違いがあります。
各モデルのミドルコントロールの中心値は以下の通りです。
TCT → 300Hz
NTCT → 400Hz
XTCT → 500Hz
このように、ミドルの調整域を100Hzずつずらした仕様となっています。グラフに記載の無いNTCTのおおよそのパラメータは、他の二つの中間くらいとなります。
TCTシリーズはNT系と違い、バッテリー電圧は9ボルト専用です。18ボルトには対応しませんので注意が必要です。
TCT(3バンドEQ)
Treble | 6kHz(±13dB) |
Mid | 300Hz(-16dB) |
Bass | 50Hz(±12dB) |
Gain | 3dB (Average boost is preset) |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V |
NTCT(3バンドEQ)
Treble | 6kHz(±13dB) |
Mid | 400Hz(-16dB) |
Bass | 50Hz(±12dB) |
Gain | 3dB (Average boost is preset) |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V |
XTCT(3バンドEQ)
Treble | 6kHz(±13dB) |
Mid | 500Hz(-16dB) |
Bass | 50Hz(±12dB) |
Gain | 3dB (Average boost is preset) |
Module Size | 44.7×25.9×3.7(mm) |
Operating Voltage | 9V |
TCTシリーズ へ ミッドブーストの追加
TCTシリーズEQプリアンプのミッドコントロールはカット方向のみの操作となりますので、それ自体は2.5バンドのEQコントロールと例えることができます。
TCT系のEQプリアンプでミッドをブーストさせたい場合には追加モジュールを加えることで任意のミドル周波数のブーストが可能となり、3バンド全てを増減コントロールすることができます。
TCT系用のミッドブーストモジュール「MCTシリーズ」は、コントロールしたい周波数毎にモデルの設定があります。また、スイッチの切り替えでコントロールする周波数帯の切替が可能なモデルも存在します。
こちらのグラフはバルトリーニの公式サイト(https://bartolini.net/)に掲示されているTCTとMCTの組み合わせのグラフを一つにまとめたものです。
グラフを見て分かるのは接続するMTCのモデルによってコントロールする周波数帯域が違うということと、ミドルから上が全体的にブーストされているということです。公式の数値では2kHzから15kHzにかけて6dBブーストされるとのことですが、ミドルのコントロールに関係なく常にブーストされた状態のようです。
MCT-250
Mid Boost | +14dB @250Hz |
Treble Boost | +6dB @2kHz-15kHz |
Module Size | 26.7×20.1×10.9 (mm) |
Wire Colors | brown + purple |
MCT-375
Mid Boost | +14dB @375Hz |
Treble Boost | +6dB @2kHz-15kHz |
Module Size | 26.7×20.1×10.9 (mm) |
Wire Colors | brown + black |
MCT-500
Mid Boost | +14dB @500Hz |
Treble Boost | +6dB @2kHz-15kHz |
Module Size | 26.7×20.1×10.9 (mm) |
Wire Colors | brown + grey |
MCT-3MC
Mid Boost | +14dB @250/500/750Hz (Switchable) |
Treble Boost | +6dB @2kHz-15kHz |
Module Size | 26.7×20.1×10.9 (mm) |
MCT-3MCはスイッチングにより250、500、750kHzの3つの切替が可能なモデルです。
コントロールその他
ボリュームやEQコントロール以外の便利な機能を紹介します。
パッシブトーンコントロール
イコライザーのコントロールでトレブルカットが可能な為、パッシブのトーンコントロールは設置しない組み方も多いですが、パッシブのトーンコントロールを追加組込みすることも可能です。パッシブ用のトーンポットは常時有効もしくはパッシブモード時のみ有効となるように組込みが可能です。
パッシブ・アクティブの切替
スイッチ付きポット又はミニスイッチ等をコントロールに組み込むことによりパッシブモードとアクティブモード(プリアンプON)の切替操作が可能となります。
パッシブモードではアプティブ回路はメインの回路から完全に切り離された状態(バイパス状態)となるので、純粋にピックアップの信号が出力されます。また、仮にプリアンプの故障や電池切れが起きたとしてもパッシブモードであれば演奏は継続可能となります。
パッシブサウンドを使わない場合には必要ないスイッチではありますが、プリアンプ回路にトラブルが起きた際の非常用切替スイッチとして備える場合やパッシブサウンドも楽しみたい場合には有ると良いコントロールです。
まとめ
BARTOLINI
HR-2.4AP/918プリアンプキット
(サウンドハウス)
EQプリアンプを搭載した個体は操作ノブが多くなる為、ノブの設置場所に限りがある場合にはスタックタイプのノブを使用する等して対応が必要です。
コントロールに関しては様々なパターンのキットパッケージがありますので、どのようなコントロールを組めるのかキット内容を参考に紐解くのも面白いと思います。
プリアンプが自分の楽器とマッチするかどうか、思っていたようなサウンドになるのかならないのかは最終的に組んでみないと分かりませんが、バルトリーニのプリアンプを検討する場合、自分が求めているものに近いのはどのタイプのものなのか、数値やグラフからある程度目星をつけることは出来ます。
バルトリーニの公式サイト(https://bartolini.net/)には、このページで紹介しきれない情報や配線図があります。プリアンプ導入を検討している場合には是非そちらも参考にしてください。