ギター紹介
(スライドショーです↑)
こちらのギターは私の友人“黒幕さん“が所有するカスタムギターで、黒幕さんの手によってすでに様々な改造が施されています。
ZEP-IIは過去に存在したESPのブランドで、こちらのギターはTVZ85というラウドネスの高崎晃さんのシグネチャーモデルです。
ジャックやコントロール位置が変更され、ラメのファイアーパターン塗装が施されています。
コントロールはシンプルに、1ボリュームとピックアップセレクターのコントロールです。
友人からの要望は「今回もお任せで良い感じに調整して欲しい」というものでした。ギターにおいて“良い感じ”というのは人によって違うので、本来であればこのオーダー内容では通用しません(笑)
指板サイドの塗装浮き修理
写真はネックを横から見た状態です。このギターは演奏時にフレットサイドが手に当たるというか、フレット部分がボコボコした感じがします。
よく見ると経年変化により指板が痩せてフレットのタング(フレットの足の部分)が塗装を押して塗装が剥離して白くなっています。場所によってはクラックが入っている部分もあります。
修正後の写真です。浮いた部分を充填し、盛り上がった塗膜部分を平らにしてフレットサイドも整えました。
指板痩せが起きているということは指板の状態は変化しているということになりますので、フレットのすり合わせも行います。
ロックナット高さ調整
ロックナットの高さ調整をしました。
ロックナット仕様の量産ギターは安全マージンをとってロックナットが高めになっている場合が多いです。すり合わせをしたフレットに合わせてロックナットの高さを調整しました。
ネック仕込み角とジョイント深さ変更
ブリッジを目一杯下げた状態で弦高が12フレット上から弦下まで1弦6弦共に2㎜でした。弦高のセッティングは好みにもよりますが、1現側1㎜、6弦側1.5㎜まで下げれるようにしたいところです。
フロイドのアームアップ無し仕様の場合、ブリッジを目一杯下げてしまうとアームダウンすらできなくなってしまうので、ある程度の余裕は必要です。
今回はボルトオンタイプのギターなのでネックポケットにシムを挟むかネックポケットを斜めに削って角度を付けることで対処が可能です。こちらは加工前のジョイント部分の写真です。ボディトップ面から指板上面までの距離が約10㎜です。
ネックはボディに対して浅めにセットされています。このような状況のギターはボディに対してネックをもっと深くジョイントすることでハイポジションの全体厚が薄くなり演奏が楽になる場合があります。なので今回はシムを使った角度調整ではなく、ネックポケットに角度を付けて掘り下げるという方法でいきたいと思います。
ネックポケットを加工するとギターの音が変わる場合がありますが、今回はどのみち弦高のセッティングを出す為にポケット部分を加工するのでジョイント深さも併せて変更することとしました。
機械を使ってポケット部分を掘り下げました。
ジョイント部分を均一に掘り下げるとブリッジ部の弦高は低くなります。ブリッジ部の弦高は逆に高くしたいのでポケット底面部分には傾斜角を付けています。
残したフチの部分はノミ等で削って加工します。
加工後の写真です。加工前とだいたい同じ計測場所でボディトップ面から指板上面までの距離が7㎜以下となりました。
ジョイント部の全体厚は薄くなったので、ハイフレット部分は手が入りやすくなって弾きやすくなったと思います。
ブリッジ部の弦高を高くする為にヘッド側が低くなるよう角度を付けているます。ブリッジはノンフローティング状態で弦高1弦側12フレット上がら1弦下まで1㎜、12フレット上から6弦下まで1.5㎜となりました。
コントロールの変更
こちらは変更前のコントロール配線図です。ピックアップセレクターにトグルスイッチを使用した1ボリュームのみのシンプルなコントロールです。
ピックアップが4芯シールド線だったので、それを活かしてサウンドバリエーションを増やしてみたいと思います。
こちらは変更後の配線図です。
ボリュームポットをスイッチ付のものに交換してコイルタップの切替えを可能にしました。ボリュームノブを引き上げるとフロントとリアのピックアップが同時にコイルタップされます。コイルタップの配線はスイッチ部分の接続を追加するだけなので比較的簡単に組むことが出来ます。この方法であればボディに加工を加えることなく機能の追加が可能です。
まとめ
今回の主な作業内容は下記の通りです。
・クリーニング
・ネック仕込み角度・深さ変更
・フレット修正
・ロックナット高さ調整
・配線コントロール変更
・弦交換
・セットアップ
弦はダダリオの09-42に交換しました。
作業の様子はYouTubeで公開しています。