現状の確認
(スライドショー)
現状のコンディションは問題無く演奏できる状態です。
トラスロッドは緩み切った状態でネックの反りがちょうどまっすぐな感じでした。
塗装の状態は問題ありませんが、年式相応のキズや黄変、白濁等の経年変化が見られます。
今回のメンテナンス作業ではリフレッシュを目的として劣化・消耗した部分を新品に近い状態に戻し、当面の間安心して使っていけるようにします。
フレット交換
フレットサイドの指板部分には、フレットのエッジを処理したときに付いたであろうキズが目立つ状態でした。
今回はフレットを交換しますので、指板の面出しの際にこちらの傷も修復していきます。
研磨だけで消えない深いキズについては、部分的に埋めて対応します。
こちらのベースは過去にネックに熱をかけて逆反りを修正したことがあるそうなのですが、もう少し順反り方向に余裕があると安心なので、その辺を加味して指板調整を行いました。
フレットを交換してナットの弦溝高さが合わなくなる場合には、ナットも併せて交換となります。
今回はフレット交換に併せてナットも作り直しをしました。
リフィニッシュ
古い塗装膜を剥離し、木地を整えて着色を行います。
塗膜に熱をかけてスクレーパーでそぎ落とす方法もありますが、今回はその方法は使わずに全て研磨により塗膜の除去を行いました。理由としては、ネックからボディエンドに伸びたメイプルの部分とウイング材であるアルダーの接着面の接着剤が熱で緩くならないようにするためです。
セットネックやスルーネック構造の場合にはボルトオン構造に比べて機械作業性が低くなります。なので、どうしても手作業での研磨対応が多く求められ、作業には根気が必要です。
組み込み
ポットやジャックなどの交換可能な電装パーツは、リフレッシュのために新しいものへ交換しました。
今回はプラグとの接点面積が多く、ホールドも安定的なピュアトーンジャックに交換しました。
ブラス製のエスカッションはクリア塗装を剥がし、ヘアライン加工を施した後、再びクリア塗装を行いました。
ボリュームノブなどもクリーニングしました。交換できないオリジナル部品は、それぞれオーバーホールで対応しています。
完成
（スライドショー）
フレット交換と再塗装で本体は新品同様になりました。エスカッションやコントロールバックプレートもキズ消しやコーティングで仕上げ、サビたネジやビスは新しいものに交換しました。
指板の面出し修正を行ったことで、これまでより低い弦高のセッティングが可能に。製造から年月が経ち、木材が安定したタイミングでの修正なので、しばらくは安定した状態で演奏を楽しめると思います。
使い込んだ“味”のある状態をそのまま楽しむのも良いですが、今回のようにレストアしてリフレッシュさせるのもまた良い選択だと思います。
