和柄ST-Typeコンポーネント

ギター紹介

(スライドショー)

ボディ・ネック・パーツをそれぞれ持ち寄って1本のギターを組んだコンポーネントギターです。

ボディトップ面には和紙をラミネートしています。
よくある1枚の大きな和紙を貼るのではなく、お客様のご要望で短冊状にカットした和紙を並べて貼っています。

こちらのギターはレフティ仕様となっています。

ボディの加工

和柄ギターボディ 作業前1

今回お持ち込みいただいたボディです。昔のTOKAIのボディだそうで、木種は恐らくセンではないかと思います。

バックカット部 2

右利き用ボディで左利き用のギターを組むということで、体にフィットするように反対側にもバックカットを追加しています。
今回はオーナー様がイメージする形状をオーナー様自身に加工していただいた状態でのお預かりです。

和紙ラミネート生地調整

塗装を剥がして木地の状態を整えます。

ボディの形状は全体的になるい感じで平面が平面ではない状態です。これはこれでギターとして味のある雰囲気が良いのですが、今回は和紙を貼るので平面は平面でないと綺麗に仕上がりません。傷の補修、ビス穴埋め、平面だしを行いました。

(スライドショー)

取付予定のブリッジに対して、ボディのザグリ形状が合いませんでしたので形状の修正を行いました。

今回取り付けるトレモロユニットはサドル形状が特徴的なGOTHOの510T-BS2で、スプリングはROW VINTAGE5本掛けです。

(スライドショー)

少しでもハイポジションが弾きやすくなるようにネックジョイント部のヒール形状を変更することとなりました。

こちらのボディはネックセットプレートの穴間ピッチが一般的な寸法では無かったので、取付予定のプレートに合わせてネックジョイント穴位置も修正しています。

ボディの塗装

(スライドショー)

目止め→ヤニ止め→サンディングの工程の後、和紙を貼る部分を白色で着色します。
和紙は塗料が染みると透けてしまうので、杢目を見せたくない場合には着色による下地作りが必要です。

和紙貼り後は和紙をコーティングし、サンディング→ボディバック着色→ゴールドバースト→クリア塗装という作業の流れとなります。
和紙の材質によって作業手順や施工法は変わります。

ボディ裏は『茶色』という指定のみで杢目は見えても見えなくてもどちらでも良いということでしたが、2ピースボディで木目の感じも良い感じだったのでこちらの判断でシースルー着色で杢目を活かす仕上げとさせていただきました。

和柄のチョイスと色の指定がバランス良く、上品な感じの仕上がりとなりました。

ネックの作業

フレット浮き修正前

今回使用するネックはSTタイプの汎用ネックです。
ウェンジの杢目と色合いがオシャレなこちらのネックはフレットの仕上げやナットが未加工の状態です。
全体的にフレットサイドの浮きが目立つ状態でしたので、そのままフレットを仕上げて完了というわけにはいかない感じでした。

フレット浮き修正後

修正後の写真です。

浮いた端の部分だけフレットを押さえたところで改善しない状態でしたので、フレットはRを修正して打ち直しを行いました。
フレットが浮いていると浮いたフレットのエッジ部分が指に当たって痛い他、振動が逃げてサウンドに影響が出る等の問題が起きる場合があります。
指板面も塗装済みの状態でしたので、今回は指板調整は行わずに対応しました。

ナット交換後

フレットを仕上げてナットを交換しました。

ナットはグラフテックに交換しました。
お客様からは溝加工済みのブラックタスク(PT-5042-00)を支給していただきましたが、全体の高さが足りませんでした。レフティということもあり、ブランクタイプ(ナット溝が未加工)で高さ寸法に余裕があるPT-2200-00を手配して取付を行いました。ネックの指板幅が若干細めということもあり、ネックに合わせてナット弦溝ピッチを加工しました。

グラフテックのブラックタスクナットは永久潤滑でチューニングが安定しやすのが特徴ですが、サウンドにも個性があります。個人的にはブラックタスクナットのクリーンサウンドが好きです。

組込み

(スライドショー)

当初はゴールドのピックガードを取り付ける予定でいましたがアクリルピックガードも似合うかもしれないということで、こちらの写真は手持ちの赤と紫のPGを乗せてみた写真です。この時点では透明のピックガードサンプルはありませんでしたが後に製作し、その透明のものを本採用することになりました。

和紙ギター ピックガード4

今回サプライズだったのは、ご依頼主様の友人の方が自分のギタークラフト専門学校時代のクラスメイトだったことです。今回のコントロールは、その友人の方が組んでくれたものとなります。
お預かりした段階ではスタンダードなストラトコントロールで組んでくれていましたが、リアピックアップ単体にもトーンを効かせたいということで一部配線の組み方を変更しています。

ピックアップはフェンダーのFat’60sです。
私は右利きですのでこちらのギターを弾きこなすことは出来ませんが、音を出した瞬間の籠りのない音の太さが印象的なピックアップでした。

まとめ

アクリルPG20

オーナー様のこだわりが詰まったギターが完成しました。

ピックガードは純粋な透明ではなく、薄青色の素材にて現物合わせで製作しました。
フロントのトーンポットの取付位置はザグリ形状とのバランスをみて位置を補正し、見た目のバランスを整えています。
右利きの状態をそのまま反転させたレフティ仕様なのですが、コントロールノブは高さの低いものをチョイスする等、見た目を崩さず演奏面にも配慮したこだわりが伺えます。
デザインや配色のバランスもセンス良くまとまっていて上品な雰囲気のギターに仕上がったと思います。

ストライプ状に和紙を貼る等、自分には無いアイデアで刺激的な作業内容でした。この度はご依頼ありがとうございました。

作業の様子は動画にまとめてYouTubeで公開しています。

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