フレット調整

調整前

作業前の写真です。

「弦高を下げて軽い力でチョーキング出来るようにしたい」というご要望により、各フレットの高さ調整と表面の傷消しを主な目的としてフレットの調整を行いました。
フレット表面に傷が残った状態では弦が引っ掛かって抵抗となり、チョーキングがスムーズに行えない場合があります。

フレット調整後

こちらはフレット調整後の写真です。
様々な理由によりフレット表面に傷を残した状態で仕上げとしているメーカーもありますが、そのようなフレットも傷を取って磨き上げることでチョーキングのフィーリングは変わります。
ついでにフレットサイドの角も丸めました。

Fender-70th-Anniversary-Broadcaster28

ナット弦溝の深さ(ナット弦高)も調整を行いました。
弦高はナットとブリッジサドルの2点の高さで決まりますので、ナット弦高の調整も重要なポイントです。

ネックの仕込み角度調整

修正前

弦高を下げたいとのことでしたが、ブリッジのサドルを下げきっても狙った数値まで弦高が下がりませんでした。
このような場合にはネックポケット部にシムを挟むか、ネックポケット部分を加工してネックの仕込みに角度を付けて対応します。
今回はネックポケットに傾斜をつける加工を行い対処しました。

ブリッジは標準の3サドルから6サドルのものに交換されています。
サドル位置を前後することで調整を行うオクターブ調整面において、3サドルタイプは1つのサドルで2本の弦を支えているため各弦に最適なオクターブ位置調整を行うのは非常に困難です。対して、各弦独立した6サドルタイプであれば、各弦最適なオクターブの調整が可能です。

修正後

こちらは修正後の写真です。
修正前はサドルを下げきった状態の1弦の弦高は1.6㎜(フレット上から弦下まで)でした。修正後は写真のサドル高さで弦高1.3㎜です。

このギターの場合、修正前のサドルを下げきっても弦高が高い状態というのは不具合ではないと思います。
ブリッジが交換されていますが、そのブリッジが悪いというわけでもありません。
個体差はあると思いますが、恐らくこのギターはそこまで弦高を低くすることを想定していない設計なのだと思います。

まとめ

Broadcaster HEAD

メーカーやグレードごとに仕上げの仕様や精度に違いがあります。
フレットの仕上げもその一つだと思います。どの状態が正解なのかは人によって違いがあると思いますが、自分に合った仕様で仕上げ直す調整は、演奏を楽しむうえでオススメの調整メニューの一つです。

この度は遠方からのご依頼ありがとうございました。

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