ギター紹介
2024 COLLECTION MADE IN JAPAN HYBRID II STRATOCASTER FMT
フレイムメイプルトップのアルダーボディが特徴です。
2点支持のトレモロユニットやロック式ペグを採用し、クラシックな雰囲気を保ちながらもモダンな仕様に仕上がっています。
ネックはグリップ部分がつや消し、指板面が艶有という仕様になっています。
オーナー様によってピックアップ交換やコントロールのカスタムが施されたこだわりの一本です。
フレット交換(ステンレス)
このギターのオーナー様は金属アレルギーをお持ちで、ニッケル製フレットよりもステンレス製フレットの方がアレルギー反応が出にくいという理由から交換のご相談をいただきました。
一般的に、金属アレルギーとは金属が汗などと反応してイオン化し、それが皮膚に吸収されることで体の免疫システムが過剰反応を起こしてしまう症状のことを指します。ステンレスは空気中の酸素と反応して表面に酸化膜を作るため、イオン化しにくいという性質があるそうです。
ステンレスにはさまざまな種類があり、医療やアクセサリーに使われるものと同じか、それに近い素材のフレットが理想です。しかし、残念ながらフレットメーカーのウェブサイトでは、ステンレスの種類についての記載を見つけることができませんでした。
今回はジェスカー製のステンレスフレットに交換します。
メイプル指板のフレット交換は指板面が塗装されているため、ローズ指板のような無塗装のものに比べて少し手間がかかります。
フレットを抜いて指板面の面出しを行いますが、サンディングによって剥離した塗装面は再着色・再塗装します。
再塗装した塗装面を仕上げる際にも、面出しをした指板面の直線とRが崩れないように注意が必要です。
作業手順や施工法は状況によって異なりますが、今回は指板面の塗装を仕上げた状態でフレットを打ちました。この場合、注意すべき点はフレット幅を揃える際に指板サイドの塗装を剥がさないようにすることです。フレット幅を均一にする際、飴色の塗料が剥がれないよう注意しながら、フレットと指板サイドを削り仕上げます。
ナットの脱着やフレット溝の修正・清掃はローズ指板と同じく必要作業となります。
おおまかな作業の様子はこちら↓
ブリッジサドル交換(チタン)
チタンはステンレス同様、金属アレルギーを起こしにくい素材です。今回はフレットと一緒にサドルも交換しました。元々はプレスタイプのサドルが付いていましたが、写真の通りブロックタイプに変更しました。イモネジがサドルから大きく飛び出さないよう調整することで、肌への刺激を防いでいます。
まとめ
今回はアレルギー対策を重視した施工内容でしたが、その中でもオーナー様の音へのこだわりに基づいて部品が選定されています。
弦もアレルギー対策としてコーティング弦を使用しています。
今回の作業以外にも、素肌に触れる部分の素材を見直すというポイントでペグボタンを樹脂や木材などの非金属に交換するのは効果的です。
また、汗をかいたらこまめに指板面を拭き取ることもアレルギー対策として有効だと思います。
少しでもアレルギーの心配をせずにギターを楽しんでいただけたら嬉しいです。