アクティブピックアップとパッシブピックアップを混載したギターといえばX JAPANのhideのサイケペイントギターを連想される方も多いのではないでしょうか。
廉価盤であるMG165Xの仕様は本人のものと違う為、hide本人のサウンドに近づける為にはピックアップの交換とコントロールの改造が必要となりますが、MG480X等の本人と同仕様モデルはアクティブとパッシブのピックアップで配線が組まれています。
このページではhideのサイケペイントギターが混載が難しいと言われるアクティブとパッシブのピックアップをどのようにコントロールし、その配線がどのようになっているのかを解説していきたいと思います。
パッシブとアクティブの違い
パッシブとアクティブのピックアップを混載する場合にはそれぞれの違いを理解する必要がありますので、違いについて簡単に解説します。
コントロールパーツの容量の違い
アクティブとパッシブではインタービンスが違う為、ボリュームやトーンに使用されるポットの容量やトーンコンデンサの容量が大きく異なります。
パッシブタイプのポットは250kΩ~500KΩの容量のもの(ハムバッカーは主に500kΩ)を使用するのに対し、アクティブでは25kΩ~50kΩのもの(EMGは主に25kΩ)が使用されます。ポットやコンデンサの容量を変化させると出力されるサウンドが変化してしまう為、本来のサウンドを出力する為にはポットやコンデンサの共有が出来ないという問題があります。
バッテリーの有無
アクティブピックアップは9V電池等の電源を必要とします。
パッシブタイプのギターにアクティブピックアップを載せる場合には電源を収めるスペースの確保が必要となります。
また、アクティブピックアップは電源供給スイッチとしてステレオタイプのジャックを使用します。
hide サイケペイントギターの仕様
ここからはアクティブとパッシブのピックアップを混載したhideのサイケペイントギターのピックアップやコントロールの仕様を見ていきましょう。
フロントピックアップ
DIMARZIO DP100 SUPER DISTORTION
(サウンドハウス)
フロントピックアップはディマジオのスーパーディストーション「DP100」の4芯ケーブル(デュアルサウンド)です。その名の通り高出力なハイゲインピックアップです。
hideのサイケペイントギターではミニスイッチの切替えでタップサウンドの出力が可能となっていたようです。
リアピックアップ
リアピックアップのEMG81はプリアンプ内蔵のローノイズピックアップです。
歪み系エフェクターとの相性も良く、ザックワイルド等の有名アーティストも愛用しています。
コントロール
イラストはhideモデル(MG-480X)のコントロール配置図です。
アクティブとパッシブピックアップの組み合わせを上のイラストの内容でコントロールしています。
マスターボリュームにはEMGに適した25kΩのポットを使用しています。
通常500kΩのポットを使用するパッシブピックアップの信号は25kΩのポットではボリューム全開時でも音の信号がアースへ逃げてしまう為、ボリュームを絞ったような高音域の少ない丸いサウンドになります。
フロントピックアップの信号をボリュームポットからアースへ逃がさずロスの無い状態で出力する為にON-ON6ピンのミニスイッチをダイレクトスイッチとして使用しています。
ダイレクトスイッチをONにするとフロントピックアップの信号がコントロールをバイパスして出力されます。コントロールをバイパスすることでフロントピックアップ信号がボリュームポットからアースへ逃げることが無くなる為、フロントピックアップ信号をロス無く出力することが出来ます。
ダイレクトスイッチがONの状態ではセレクターの位置に関係無く強制的にフロントのピックアップが単体で出力され、バイパスされたピックアップセレクターとボリュームのコントロールは無効となります。
ピックアップセレクターをリアにしておけばダイレクトスイッチはリアとフロントのピックアップセレクター感覚で使用することが出来ます。リアピックアップと音ごもりの無いフロントサウンドの切替えを一発で行うことが出来ます。
配線図
上記コントロールで配線を組むとこのような配線図になります。
タップ配線やアース線の接続には複数の組み方がある為、配線の取り回しはhide本人のものと全く同じではないと思いますが、この配線方法で同じコントロールを組むことが出来ます。
フロントピックアップのアース線は記載を省略しています。アース線はアース(ポット裏等)へ接続します。
ボリュームポットは裏から見た状態です。
ピックアップのミックス時にフェイズアウトしないようにピックアップの位相を合わせる必要があります。
EMGとディマジオのピックアップは、付属の配線図通りに組むと位相が逆の組み合わせとなりピックアップのミックスサウンドがフェイズアウト配線となる為、上記配線図ではEMG81の位相にスーパーディストーションの位相を合わせて配線を組んでいます。
タップスイッチをONにするとネック側のコイルがキャンセルされる配線図です。
ブリッジ側をキャンセルしたい場合には赤-白、黒‐緑の線をそれぞれ入れ替えて配線を行います。
まとめ
hideのサイケペイントギターではボリュームポットに25kΩを使用することによるフロントピックアップの音の変化をダイレクトスイッチでカバーしていることがわかります。
アクティブとパッシブのピックアップ混載は不可能ではありませんがコントロールの組み方に工夫が必要となります。